ワーク・ライフ・バランスの実現を目指す!勤務間インターバル制度の導入について(その1)

働き方改革

ワーク・ライフ・バランスの実現を目指す!勤務間インターバル制度の導入について(その1)

 

平成30年7月6日に公布された働き方改革関連法の中で、「勤務間インターバル制度」の導入が努力義務とされました。

しかし、導入があまり進んでいないのが実態です。

なぜ導入が進まないのか?この制度を導入することでどんなメリットがあるのか?厚生労働省から公表された「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」の報告書を基にご紹介します。

 

勤務間インターバル制度の導入状況

 

「勤務間インターバル制度」は、労働者の”終業時刻“から”次の始業時刻“までに一定時間の休息を設定する制度です。

労働者が十分な睡眠時間や生活時間を確保し、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働き続けることができる魅力ある職場づくりを可能とする制度です。

当制度の導入状況は、平成29年1月の調査では「導入している」とした企業の割合は1.4%で、平成30年1月の調査ではその割合が1.8%と、わずか0.4%の微増にとどまっている状況です。 

なぜ制度の導入が進まないのでしょうか?

勤務間インターバル制度の導入が進んでいない理由として、平成29年・平成30年の調査とも「当該制度を知らなかったため」が最も多い結果になっています。調査結果からも分かるように、制度自体を知らなかったために、導入をしていない企業が存在することも課題のひとつです。

制度を知っていながら、導入に二の足を踏んでいる企業では、「突発的な事情で残業が生じ、次の出勤時刻を遅らせる場合に、その分の代替要員の確保が困難であることなどの労務管理上の課題があること」なども理由として挙げられています。

1年間を通じて実際の終業時刻から始業時刻までの間隔が11時間以上空いている労働者の状況別の企業割合をみると、平成29年の調査では「全員」と答えた企業が37.3%と最も多く、次いで「ほとんど全員」が34.3%となっており、これが平成30年の調査では「全員」「ほとんど全員」の割合がさらに増えていることから、実質的に11時間の休息時間が確保されている企業が多数を占めている状況です。あえて制度化する必要がない状況の企業が多いことが、制度の導入が進んでいないことの背景になっているとも考えられます。 

しかしながら、業種や職種、企業によっては過重労働が深刻な問題となっており、過重労働により精神障害を発症し、労災認定される件数は増加の一途をたどっていることも事実です。

「実労働時間の長さと健康不安」「健康不安と能力発揮」の関係についての調査では、週の実労働時間が長い人ほど健康不安も高く、健康不安が高い人ほど能力の発揮度合いに対する自己評価も低下するという結果が出ています。

 

寝不足は非常に危険な状態

 

睡眠と心身の健康状態は深い関係があります。

交通事故に関するある※研究では、交通事故を起こした運転者で、夜間の睡眠時間が6時間未満の場合に追突事故や自損事故の頻度が高いことが示されています。

また、朝8時から持続的に1日以上徹夜で覚醒させた研究では、認知・精神運動作業能力は、夜中の3時(17時間覚醒)で血中のアルコール濃度が酒気帯び運転と同程度の数値となり、翌朝8時(24時間覚醒)にはさらに、およそ瓶ビール1本飲んだ時と同程度の数値になることが示されています。 

このように、飲酒をしていなくても、起床から十数時間もすれば同様の異変が起きるのです。運転などには非常に危険な状態であることは言うまでもありませんが、仕事においてもパフォーマンスが著しく低下すると言えるでしょう。

昨今、過重労働による睡眠不足やストレスによりメンタルヘルス不調をきたす労働者が増えています。

メンタルヘルスの不調が原因で休職者が増加した企業では、増加しなかった企業に比べて利益率が低いとの調査結果も出ていますので、企業の成長という観点からも労働者の心身の健康確保に取組む意義は大きいのです。

※厚生労働省 「勤務官インターバル制度普及促進のための有識者検討会」報告書 https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000462016.pdf 

 

勤務間インターバル制度導入に向けた国の支援策

 

平成28年度から勤務間インターバル制度を導入する中小企業に対し、就業規則の作成・変更や労務管理用機器の導入などを行った費用の一部を助成する助成金が始まっており、多くの企業がこの助成金を活用して導入に取組んでいます。

今年度の申請はすでに締め切りとなりましたが、来年度も同様の助成金が継続された場合には、この助成金を活用しながら導入することで費用を抑えることができますのでおススメです。

▼時間外労働等改善助成金(勤務間インターバルコース)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html

※今年度は平成30年12月3日で申請締め切り済みとなっています。

 

勤務間インターバル制度導入によるメリット

 

勤務間インターバル制度導入によるメリットはいくつか挙げることができます。

前述の通り、睡眠不足は仕事のパフォーマンスや心身の健康に大きな影響を及ぼすことが各種の研究結果から明らかになっています。日本の労働者では、特に働き盛りで、管理的立場に就くことにより責任も重くなることが多い40代で睡眠の状況に課題があるとされています。

勤務間インターバル制度を導入することにより、全ての労働者の健康維持に向けた睡眠時間の確保が期待できます。

睡眠時間の確保はもとより、生活時間が充実するにより、家族や友人と交流する時間、自己啓発や地域活動への参加のための時間を持つことができるようになり、豊かな生活が可能となります。

仕事以外での充実した時間が、仕事での新たなアイディアを生み出すきっかけにもなるでしょう。

なお、経済産業省が就職活動をしている学生とその親に向けて行った就職先に望む勤務条件等に関するアンケート結果では、就活生・親ともに「従業員の健康や働き方に配慮している」がトップとなっています。

働き過ぎを防ぎ、ワーク・ライフ・バランスの実現を目指し、魅力ある職場環境をつくることが、人材の確保・定着につながり、離職者の低下も期待できます。

これにより、企業の利益率向上や生産性向上へとつながっていくでしょう。

勤務間インターバル制度の導入に向けて

 

勤務間インターバル制度を導入するためには労使の話し合いの場を設け、実態を踏まえた制度設計を行うことや、就業規則の整備などが必要になります。また、労働時間の適正な管理を行うために勤怠管理システムの導入も必要になります。

以下が、制度導入にあたってのおおまかな流れとなります。

 

制度導入の検討

 ↓

労使での話し合い

 ↓

企業内の労働時間の実態の把握

 ↓

実態を踏まえた休息時間確保の制度設計の検討

 ↓

試行

 ↓

検証及び見直し(問題点の発掘)

 ↓

本格稼働(制度化)

 

いずれのステップにおいても、労使での話し合いを行うことが重要です。

勤務間インターバル制度導入の検討にあたっては、どのような手順で進めたらよいのか分からない、という課題も大きいと思います。

次回のブログでは、それぞれのステップについてより具体的な内容をお伝えしたいと思います。

参考:

  • 「勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会」報告書|厚生労働省
  • 健康づくりのための睡眠指針2014|厚生労働省