働き方改革を後押しする助成金その3 ~時間外労働の削減だけでなく年次有給休暇の取得日数を増やすことで、健康的に働く職場を実現しませんか?~

働き方改革

働き方改革を後押しする助成金 その3

~時間外労働の削減だけでなく年次有給休暇の取得日数を増やすことで、健康的に働く職場を実現しませんか?~

平成29年度には職場意識改善助成金という名前で活用されていた助成金に対し予算が拡充され、平成30年度「時間外労働等改善助成金」として以下の5つの助成金が整備されました。

 

・時間外労働等改善助成金(時間外労働上限設定コース)

・時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)

・時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)

・時間外労働等改善助成金(テレワークコース)

・時間外労働等改善助成金(団体推進コース)

これらは、中小企業・小規模事業者が時間外労働の上限規制等に円滑に対応するため、生産性を高めながら労働時間の短縮等に取り組む事業主に対して助成するものであり、中小企業における労働時間の設定の改善の促進を目的とした助成金です。

働き方改革関連法案が成立すれば、中小企業でも2020年4月より時間外労働の上限規制が始まる予定です。これらの助成金を上手に活用して、働き方改革を進められてはいかがでしょうか。

今回は、これらの助成金のうち「職場意識改善コース」を取り上げてその概要をご紹介します。

 第1弾を読んでいない方はこちらから

働き方改革を後押しする助成金その1 ~罰則付き時間外労働の上限規制導入に備え、今から36協定の上限時間を見直しませんか?~

第2弾を読んでいない方はこちらから

働き方改革を後押しする助成金その2 ~ワーク・ライフ・バランスの向上に向けて、勤務間インターバル制度の導入を検討しませんか?~

時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)

このコースは、生産性の向上などを図ることにより、所定外労働の削減や年次有給休暇の取得促進に取組む中小企業事業主を支援するものです。

取組みの実施にかかった費用の一部を支給するものですので、実際の取組みについて経費がかかっていることが前提となります。

<対象事業主>

労災保険の適用事業主であり、次のいずれかに該当する事業主であること。

①前年における、労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数が13日以下であって、月間平均所定外労働時間数が10時間以上である中小事業主

②労働基準法の特例として法定労働時間が週44時間とされており(※)、かつ所定労働時間が週40時間を超え週44時間以下の事業場を有する事業主

 

◆中小企業事業主の範囲

AまたはBの要件を満たす企業が中小企業になります。

業種

資本または出資額

常時使用する労働者数

小売業(飲食店を含む)

5,000万円以下

50名以下

サービス業

5,000万円以下

100名以下

卸売業

1億円以下

100名以下

その他の業種

3億円以下

300名以下

 

※労働基準法の特例として法定労働時間が44時間とされている事業場とは、常時10人未満の労働者を使用する以下の業種の事業場が対象です。

①商業

物品の販売、配給、保管もしくは賃貸または理容の事業

②映画・演劇業

映写、演劇その他興業の事業。映画製作の事業を除く

③保健衛生業

病者または虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業

④接客娯楽業

旅館、料理店、飲食店、接客業または娯楽場の事業

 

<支給対象となる取組み>

①労務管理担当者に対する研修

②労働者に対する研修、周知・啓発

③外部専門家によるコンサルティング

就業規則・労使協定等の作成・変更

⑤人材確保に向けた取組み

⑥労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器等の導入・更新

⑦テレワーク用通信機器の導入・更新

⑧労働効率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

 

<成果目標>

支給対象となる取組みは、以下の「成果目標」の達成を目指して実施する必要があります。

 

(1)対象事業主の①に該当する場合

ア)年次有給休暇の取得促進について、労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数を前年と比較して4日以上増加させること

イ)所定外労働の削減について、労働者の月間平均所定外労働時間数を前年と比較して5時間以上削減させること

※上記アおよびイについては、3か月間の評価期間において達成状況を評価します。

 

(2)対象事業主の②に該当する場合

全ての対象事業場において、週所定労働時間を2時間以上短縮して、40時間以下とすること

 

<支給額>

助成額=対象経費の合計額×補助率

 

常時使用する労働者数が30名以下でかつ、支給対象の取組み⑥~⑧までを実施する場合で、経費の合計額が30万円を超える場合はその4/5が補助されます。

 

●成果目標(1)の場合

成果目標の達成状況

補助率

1企業当たりの上限額

両方とも達成し、かつ年次有給休暇の年間平均取得日数を12日以上増加させた場合

3/4

150万円

両方とも達成

3/4

100万円

いずれか一方を達成し、かつ年次有給休暇の年間平均取得日数を12日以上増加させた場合

5/8

133万円

いずれか一方を達成

5/8

83万円

いずれも未達成

1/2

67万円

 

●成果目標(2)の場合

成果目標の達成状況

補助率

1企業当たりの上限額

達成

3/4

50万円

 

<具体例>

A社(企業全体の常時使用する労働者数30名)は、前年度の年次有給休暇の年間平均取得日数が8.2日、前年度の月間平均所定外労働時間数が23時間だとします。

 

これに対し、今回、成果目標として「年次有給休暇の取得促進」および「所定外労働の削減」を設定し、外部専門家に依頼して就業規則の変更を行い(①)、さらに勤怠管理システムを新たに導入(②)したすると、補助額はどうなるでしょうか。

 

①外部専門家への謝金として80,000円(税込み86,400円)を支払い、②勤怠管理システムの導入に330,000円(税込み356,400円)を支払ったとした場合で考えてみます。

①についての補助額:86,400円×3/4=64,800円

②についての補助額:356,400円×4/5※=285,120円

合計349,000円(1,000円未満切り捨て)となり、これは上限額よりも低い金額となりますので、結果349,000円が補助されます。

 ※勤怠管理システムの導入については、企業全体の常時使用労働者数が30名以下で、かつ費用合計が30万円を超えた場合に、補助率が4/5となります。

 上記のように、複数の取組みを行った場合には、その金額を合算して申請を行うことが可能です。

 

<申請の流れ>

①交付申請〔事業主〕

交付申請書の提出

  ↓

交付申請書の受付・審査〔都道府県労働局〕

※平成30年10月1日(月)必着

  ↓

交付・不交付の決定・通知〔都道府県労働局〕

  ↓

通知の受理〔事業主〕

 

②事業実施〔事業主〕

事業実施(機器の購入、就業規則の作成・変更、研修の実施など)

評価期間(事業実施期間内の3か月間) ※成果目標(1)の場合

  ↓

③支給申請〔事業主〕

支給申請書の提出

  ↓

支給申請書の受付・審査〔都道府県労働局〕

※事業実施期間が終了した日から1か月以内または平成31年2月15日(金)のいずれか早い日まで 必着

  ↓

支給・不支給の決定・通知〔都道府県労働局〕

助成金の支給手続き

  ↓

通知の受理〔事業主〕

助成金受け取り

 

<注意点>

●事業実施体制の整備のための措置として、労働時間や年次有給休暇などに関する事項について労使で話し合う機会を設け、また労使からの労働時間に関する個別の苦情、意見および要望を受け付ける担当者の選任などが必要になります。

●交付決定の前に事業にかかる発注・契約等を行った場合や、事業実施期間の終了後に取組みを実施した場合は、その経費について助成金の支給を受けることができませんので、助成金受給のためには順番をしっかり整理して取り組むことが必要です。

 ●支給対象事業主数は国の予算額に制約されていますので、10月1日前に受付を締め切る場合があり、注意が必要です。

 ●事業実施計画の作成にあたっては、必要な経費の算出根拠として見積書が必要となります。見積書は原則として複数とる必要があります。(相見積もり)

  

確実な年次有給休暇取得のために

 休む時はしっかり休み、オンオフの切り替えをしながら健康的に働いていくためには労働時間の削減だけでなく、年次有給休暇を取得することも非常に大切です。ただ、それは分かっているものの、何となく取りづらい雰囲気があったり、気づいたらほとんど取得せずに1年が終わっていた・・・というのもよくある話です。

 年次有給休暇の取得日数を意識するための第一歩として、勤怠管理システムを活用し、取得日数を人事部任せではなく、自分でもタイムリーに確認できるようにする、という方法があります。そして、休暇を取りづらい雰囲気がある職場であれば、年休カレンダーを作成し、年度や半期、四半期で区切って、それぞれが取得予定日を入力し、事前にメンバーに共有しておくという方法が有効です。早い段階で取得日が共有されていれば、それに向けて業務調整やメンバー間での補完もできますので、取得しづらい、または取得できない、という事態は避けられるはずです。ヨーロッパでは、従業員の全年次有給休暇希望を事前に聴取し、それを人事部が主導して調整、その通りに実施されていることから、高い年休の取得率を誇っているといいます。この年次有給休暇の取得調整こそがヨーロッパでは人事部の主要業務なのです。

 この助成金を活用し、みなさまの企業でも時間外労働の削減だけでなく、年次有給休暇の取得へ向けた取組みを始められてみてはいかがでしょうか。

                  

みなさまの企業にあった働き方改革を!

全3回に分けて、「助成金」をテーマにブログでご紹介しました。働き方改革はやみくもに行っても効果が薄いと思います。本来の目的は、「助成金を受ける」ことではなく、「助成金を活用して働き改革を推進していくこと」です。

そのためにも、ご紹介した助成金を活用して、みなさまの企業に合った働き方改革を推進していってください。

【3つの導入タイプから選ぶ|勤怠管理システム徹底比較】

参考: