従業員の健康こそが生産性向上のカギ!健康経営のススメ②

働き方改革

社員の健康こそが生産性向上のカギ!健康経営のススメ②

前回の記事では、健康経営を推進することにより、生産性の向上が期待できることを紹介しました。では、実際に健康経営をするためにはどのような取組みを実施すれば良いのでしょうか。今回は、健康経営を取組むための方法をご紹介します。

前回の記事はこちら

 

健康経営はできることから始めましょう!

 

健康経営の取組みは、細かな計画を立てて大きな成果を目指すより、まずはできることから始めてみましょう。ハードルの低い取組みのほうが、取組む社員の不安や負担が少なく、受け入れられやすくなりますので、まずはスモールチェンジを目指すことが効果的です。また、社員の健康づくりはコストゼロから始めることができます。まずは社員同士で健康について話し合う機会を設けたり、体重計や血圧計を社内に設置したりと、社員の健康づくりのステップとなりますので、小さな取組みでもできることから始めることをお勧めします。

しかし、小さな取組みを始めても、やりっぱなしは良くありません。PDCAサイクルを継続的に回していくことも、社内に健康経営活動を浸透させるためには大切になります。健康経営のための手段が目的にならないように注意する必要があります。

健康経営5つのステップ

 

ではここから、健康経営を効果的に実践するための5つのステップをご紹介します。

STEP1:健康企業宣言

“協会けんぽ”または”健康保険組合”等で健康企業宣言を行いましょう。

宣言をしたら、その宣言書を社内外に周知しましょう。社員が集まる会議室や会社の入口に掲示し、ホームページや求人サイトでアピールするのもお勧めです。

 ↓

STEP2:組織体制の整備

社内で健康づくりの担当者を決定します。健康づくりの担当者は事業場ごとに選任しましょう。つまり、本社・各支店それぞれに担当者を選任するということです。人事や総務が担当者になるケースが多いですが、業務に支障がないのであれば、有志に協力してもらうのもよいかも知れません。

 ↓

STEP3:課題の把握

定期健康診断の受診率を確認し、健診結果により社員の健康状態を把握します。また、ストレスチェックを実施しているのであれば、心の健康状態についても把握します。さらに、残業時間や年休の取得状況、食事の時間帯など働く環境についても確認し、どこに課題があるのかを把握するのです。

 ↓

STEP4:計画策定・健康づくりの推進

STEP3で挙がった課題を受け、優先的に取り組む課題を決めます。優先順位に従って課題解決方法を検討し計画を立案、実施していきます。

計画立案の際は、健診受診率や年休取得率、残業時間数など、数値目標を盛り込むと良いでしょう。

 ↓

STEP5:取組の評価・見直し

健康づくりの取組みの実施状況や参加状況を把握します。生活習慣や健康状態の改善、参加の満足度、仕事のモチベーション等、反応や効果を確認して、改善策を検討します。

そして、改善策を元にさらなる取組みを進めていくことになります。

 

健康経営に係る認定制度について

 

経済産業省が設計した認定制度として、「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人認定制度」があります。

【健康経営銘柄】

「健康経営銘柄」は、東京証券取引所の上場会社の中から健康経営に優れた企業を選定し、長期的な視点からの企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力ある企業として紹介することを通じ、健康経営の取組みの促進を目指しています。

原則1業種に1社しか選定されないため、選定された企業は業種を代表する健康経営のトップランナーとしての立場に立つことになります。 

【健康経営優良法人認定制度】

「健康経営優良法人認定制度」は、健康経営を実践している優良な大企業や中小企業等の法人を認定する制度です。健康経営に取組む優良な法人を「見える化」することで、社員や求職者、関係企業や金融機関などから、社員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人として、社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目標としています。

この制度は、社員の数によって、「中小規模法人部門」と「大規模法人部門」の2つの部門に分け、それぞれの部門で「健康経営優良法人」を認定します。認定企業は、経済産業省のホームページで企業名が公開され、報道機関を招いた発表会に参加できますので、特に中小企業には知名度を上げる絶好の機会となります。

 

評価制度認定による変化・効果

 

健康経営銘柄に選定されたり、健康経営優良法人に認定されたりすることで、社内外から前向きな反響があったとの声が多数挙がっています。

健康経営銘柄に選定された企業からは、就活生からの応募が大幅に増加し、内定後の辞退率も減り、優秀な人材の確保につながっているといったことや、取引先やその他の企業から高く評価してもらえた、他業種とのつながりのきっかけができた、などの声が聞かれます。

また、健康経営優良法人に認定された企業からは、社員の健康に対する意識が向上した、といったことや、社内コミュニケーションが活性化した、社員のモチベーションが向上した、年休取得率の向上や時間外労働の減少などの効果があった、といった声が聞かれます。

最後の声にありますように、健康経営は働き方改革の取組みをも包含します。そのため、各企業は働き方改革だけでなく、健康経営も進めることによって、さらなる生産性向上の効果が期待できるのです。

 

経営者が率先して取り組むことが重要

 

健康経営に取組む上で一番大切なのは、経営者自身の想いです。

なぜ健康経営が必要なのか、健康経営を通して会社としてどんな姿を目指すのか、これらを経営者自身の言葉で社員に伝え続けることが重要です。

働き方改革の効果を感じている企業では、経営層が改革に複合的に関与している割合が高く、効果を感じていない企業よりも高いという調査結果が出ています。これは、健康経営にも同じことがあてはまります。

最初の掛け声だけではなく、長期的な視点で経営者の皆さんに積極的に関わっていただきたいと思います。

「経営者自身が健康づくりに取組むこと」という点について、健康経営優良法人では経営者の健康診断が実施されていないと、それだけで残念ながら認定には至りません。それほど、経営者自身の意識も重視されているのです。

 

社員が自律的に取り組むことが重要

 

先ほど健康経営の認定制度についてお伝えしました。認定制度を取得することで多くのプラスの効果が期待できますが、あくまで認定制度は制度に過ぎませんので、それを取得することが目的になってしまっては、本末転倒です。 

誰かから言われずとも社員が積極的に健康づくりに取組むことが理想です。健康経営の意味や目的、自分にとってのメリットを理解し、納得しなければ社員は取組むことができません。

実際、社員の健康のために一生懸命働きかけても、あまり社員が動いてくれないという悩みを抱える担当者は多いのです。会社としての取組みを始める前に、社員に対して、会社として目指す姿やそれが社員に対してどんな効果をもたらすのかについてもしっかり伝える機会を作りましょう。 

そして、社員がやるべきことはセルフケアであることを伝えましょう。

大切なのは、自分の健康状態の課題に合わせて適度な運動の実施や、健康増進を意識して生活することです。具体的なテーマは「適度な運動」と「食生活の見直し」です。

そんなシンプルなこと?と思われるかも知れません。それが良いのです。シンプルで実行できそうな内容だからこそ、個々が無理せずに続けることができるのです。

取組みの主役は社員です。

社員が健康を維持増進して、最大限の力を発揮し、企業の生産性向上へとつながることが、健康経営プロジェクトの成果なのです。

参考:

  • 日本一わかりやすい健康経営/金城実/プレジデント社/2018年/33ページ
  • 健康経営の推進について/経済産業省/2018年/68ページ 
  • 健康経営アドバイザーテキスト/東京商工会議所/2018年/128ページ
  • 働き方改革の実態調査2017~Future of Workを見据えて~/デロイトトーマツ/2017年/34ページ