建設業における働き方改革ついて

働き方改革

建設業における働き方改革ついて

よく過重労働が問題になる業界のひとつに建設業界があります。2017年3月、新国立競技場の地盤改良工事で施工管理をしていた23歳の新入社員の男性が過労自殺したという問題は記憶に新しいのではないでしょうか。男性が自殺する直前1か月の時間外労働は200時間を超えていましたが、会社は把握していなかったといいます。

建設業は現状では36協定の限度時間の適用除外となっているため、実質的には36協定さえ結んでしまえば青天井で何時間でも残業させることが可能な状況です。これは、建設業は天候や繁忙期の業務量の差が激しいため、一定の長時間労働が避けられないと考えられてきたからです。

しかし、働き方改革関連法案が成立すれば、5年間という猶予期間はあるものの、建設業界にも時間外労働の上限規制が適用になる予定です。

本日はこの動向を踏まえ、建設業界の現状と働き方改革をテーマに取り上げます。

 

建設業界の労働時間や休日の現状

 

厚生労働省の調査結果によると、年間実労働時間は、調査対象の産業の合計(以下、「産業合計」と表記)、建設業ともに右肩下がりとなってきています。具体的には、産業合計で見てみると、2017年度に1807時間であったものが、2016年度には1720時間と、87時間ものマイナスになっている状況です。これにはパート労働者等が増加したこともその要因に含まれますので、単純に労働時間が削減されたとみることはできない側面もありますが、いずれにしてもマイナスの幅は大きくなっています。一方で、建設業はというと、2007年度に2065時間であったものが、2016年度では2056時間となっており、減少幅はわずか9時間と少なく、その時間数については、産業合計を大幅に上回っている状況となっています。

また、年間出勤日数については、産業合計が2007年度に233日、2016年度に222日と11日のマイナスになっているのに対し、建設業では2007年度に256日、2016年度では251日と、5日のマイナスにとどまり、その日数も依然産業合計と比較して高いことが分かります。

 年間出勤日数が多いことからもお分かりいただける通り、建設業における休日についても他産業と比べて少なく、約65%が4週4休以下で就業している状況です。

 以上のように、世の中の動きが労働時間の削減や休暇の取得などワークライフバランスの実現を中心に進む中、建設業はその業務の特性からなかなかその動きが加速していない状況にあるのです。

 

建設業は時間外労働の上限適用に5年の猶予あり。適用除外にはならないことに注意!

 

ここで、働き方改革の目玉である時間外労働の上限規制について改めて確認しましょう。

1か月45時間、かつ年360時間というこれまでの時間外労働の限度基準が罰則の適用の無い大臣告示という位置付けであったのに対し、これが法律に格上げされ、罰則による強制力を持たせる予定です。

上限規制には<原則>と<特例>があります。これまでの36協定の基本条項・特別条項になぞらえて考えていただくと分かり易いと思います。

<原則>

労使協定の締結により、1週40時間、1日8時間を超えて労働可能となる時間外労働の限度は、1か月45時間、かつ1年360時間とし、違反には以下に掲げる特例を除いて罰則を課す

 <特例>

・特例として、臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない時間外労働を年720時間(=月平均60時間)とする

・年720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限、上回ることのできない上限を設ける

・この上限については、

2か月、3か月、4か月、5か月、6か月の平均で、いずれの月においても、休日労働を含んで80時間以内としなければならない

②単月では、休日労働を含んで100時間未満としなければならない

月45時間を超える月数は6か月(6回)までとしなければならない

①の平均時間の算出については、36協定の有効期間は関係ありません。有効期間を挟んで平均時間の算出がリセットされるわけではありませんので、注意が必要です。

この時間外労働の上限規制は、大企業で2019年4月、中小企業で2020年4月の施行予定とされています。

建設業については、この上限規制の適用までに5年間の猶予期間が設けられる予定です。これまでのように適用除外とはされないことに注意が必要です。(ただし、災害からの復旧・復興の場合については、単月で100時間未満、2か月ないし6か月の平均で80時間以内の条件は適用しません。)

  

長時間労働の是正に向けた建設業の取組み

 

「働き方改革実行計画」によると、建設業の課題について『建設業における長時間労働については、発注者との取引環境もその要因にあるため、関係者を含めた業界全体としての環境整備が必要』と述べられ、具体的には以下の取組みを実施するとされています。

①適正な工期設定や賃金水準の確保、週休2日の推進等の休日確保など、民間も含めた発注者の協力が不可欠であることから、発注者を含めた関係者で構成する協議会を設置するとともに、制度的な対応を含め、時間外労働規制の適用に向けた必要な環境整備を進め、あわせて業界等の取組みに対し支援措置を実施する。

②技術者・技能労働者の確保・育成やその活躍を図るため制度的な対応を含めた取組みを行うとともに、施工時期の平準化やICTを全面的に活用したi-Constructionの取組み、書類の簡素化、中小建設企業への支援等により生産性の向上を進める。


長時間労働の是正のためには、労働基準法や労働安全衛生法などの法令を遵守することを大前提とした上で、業務プロセスや設備等の改善、意識改革が必要になります。

 現在国土交通省では、2025年度までに建設現場の生産性を20%向上することを目標とした

「i-Construction」の導入を進めています。これは、ドローンやICT建設機械の活用、設計・施工図面の3次元化などにより、工期や作業時間を短縮して生産性を向上させようという取り組みです。

 労働力人口が減少し、人手不足が深刻化する中、生産性を向上させ、少ない人手で最大限のアウトプットを実現することが建設業界にも求められています。

建設業は他の業界と比較して生産性向上が遅れていると言われる業界のひとつでもありますので、取組み次第では生産性向上のチャンスが大きい、伸びしろのある業界なのです。

 もっと身近な生産性向上の施策も考えてみましょう。

みなさまの企業では、長時間労働を助長するような業務のムダはありませんか?

単に「労働時間を減らす」ということだけを目標にすると、モチベーションの低下や、退社を強要する“ジタハラ”(時短ハラスメント)につながりかねません。労働時間を減らすことがかえって従業員の皆さんのストレスになってしまっては本末転倒です。まずは「業務のムダを減らす」ことを目指し、現状の業務実態を分析・整理し、ムダと思われる業務を廃止したり簡略化していくことから始めてみませんか?

また、生産性向上施策に取り掛かるためには、当然労働時間の適正な把握も必要です。

もともと使用者には、労働者の労働時間を適正に把握する責務があります。つまり、労働者の労働日ごとの始業時間や終業時間を確認し、それによって1日何時間勤務したのかを把握しておかなければならないのです。

また、労働者の意識改革を進める上でも、まずは労働時間の実態を自身で把握しておくことが重要です。

昨年の1月に厚生労働省より示された『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』をご存知でしょうか?このガイドラインでは、使用者に対し、労働時間の適正把握の徹底を求めています。具体的には、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置」の中で、労働時間の客観的な記録を残す管理ツールの導入を、主に検討すべき事項のひとつして挙げています。労働時間の自己申告制については例外的に認めているに過ぎず、自己申告制のみによる労働時間の把握・管理は極めてリスキーであるとしています。

客観的な記録を残す管理ツールとしては、タイムカードや勤怠管理システム等が挙げられますが、タイムリーな労働時間の把握や、業務ごとのかかった時間の把握、法令遵守や健康管理のための残業時間の予測など、利便性と導入の効果性を考えれば、勤怠管理システムの導入を推奨します。

特に建設業では現場間の移動や現場ごとに就業時間が異なるなど、労働時間管理が煩雑ですので、ICT技術を使わないタイムカードでの一律管理はなかなか難しいのではないでしょうか。

働き方改革の先にある、生産性向上を実現するためには、まず何より労働実態の把握から始めることが重要です。また、昨年度より、企業の働き方改革を後押しするために、勤怠管理システム等の導入費用を対象とした助成金も整備されていますので、それらの活用も視野に入れて、導入をご検討されるにはふさわしい時期ではないでしょうか。

建設業の働き方改革を実現するソリューション

建設業従事者は55歳以上が約34%を占めており、10年後には人材不足が深刻になることが決定的な状況であり、高齢者に配意した作業内容や熱中症対策など作業環境の改善を検討する必要があります。
加えて「働き方改革実行計画」によると、『建設業における長時間労働については、発注者との取引環境もその要因にあるため、関係者を含めた業界全体としての環境整備が必要』と述べられおり、長時間労働を慢性化させやすい業界構造となっています。

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参考:

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(厚生労働省)

建設業における働き方改革(国土交通省)

i-Construction~建設現場の生産性革命~(国土交通省)