勤怠管理とは?いまさら聞けない人事・総務の基礎知識

勤怠管理

勤怠管理とは?いまさら聞けない人事・総務の基礎知識

勤怠管理は、企業の人事・総務を担当すれば、関わることの多い業務の一つです。今回は、いまさら聞けない勤怠管理の基礎知識についてご紹介します。

勤怠管理が必要な理由―労働時間と休憩時間

勤怠管理とは、使用者(企業や事業所)が従業員の就業状況を適正に把握することを指します。具体的には、タイムカードやICカードなどの勤怠管理システムを利用し、始業から終業までの時刻、時間外労働、有給休暇取得の状況などを記録し、チェックを行います。正しい勤怠管理は適正な賃金の支払いにつながるだけではなく、過剰労働の早期発見や防止効果が生まれ、従業員の健康維持やひいては法令遵守にも結び付くのです。

勤怠管理を行うことは、使用者に与えられた責任であり、義務です。労働基準法第108条には勤怠管理について「使用者は、事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省命令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない」ことが定められています。厚生労働省により平成29年1月20日に新たに策定された「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の中でも、「使用者は労働時間を適正に把握するなど、労働時間を適切に管理する責務を有している」と示されています。

労働時間の定義

厚労省のガイドラインでは、「労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間」と示されています。言い換えると、企業や事業所などから命じられた仕事をするために、自由に過ごせない時間ということです。これには法律によって決められたルールがあります。
労働者の働いた時間が労働時間にあたるかどうかや、同じ労働時間であっても時間外や休憩などに該当しないかどうかを正しく把握することが勤怠管理の持つ重要な側面のひとつなのです。

まず、労働時間には法律で定められた「法定労働時間」があります。労働基準法での「休憩時間を除いて1日8時間以上、1週間で40時間」がそれにあたります。

一方で、それぞれの企業や事業所には「所定労働時間」があります。就業規則によって決められた「始業から終業までの拘束時間から休憩時間を除いた労働時間」のことです。企業や事業所によっては、1カ月単位で法定労働時間を超えないようにする「変形労働時間制」を導入している場合もあります。

法定労働時間を超えたり法律で定められた休日に労働したりした場合は、「時間外労働」や「休日労働」となり、労働が深夜におよぶ場合は「深夜労働」となります。時間外労働や休日労働は、原則禁止です。ただし、労働者と使用者とが書面による協定(通称:36協定)を事業所の管轄の労働基準監督署に届け出た場合に限り、例外的に認められます。こうして行われた時間外労働や休日労働、深夜労働に対しては、使用者の割増賃金の支払いが必要です。

休憩時間の定義

休憩時間は労働基準法により、「労働時間が6時間を超える場合少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間を労働時間の途中に与えること」とされています。ただし、労使協定がある場合や運輸交通業または郵便など、一部の職業に従事する場合は、この限りではありません。また、休憩時間は一斉に与えられなければならないとされていますが、先のような一部の事業ではこの条件についても適用除外となっています。さらに、使用者は休憩時間を自由に利用させなければならない、とも定められていますが、警察官や消防吏員、常勤の消防団員および児童自立支援施設に勤務する職員で児童と起居を共にするなどの職業に従事する場合も適用されません。

冒頭でも触れたように、労働時間は「使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定義されていますが、実際に勤務していれば「労働時間なのか、休憩時間なのか」があいまいなグレーゾーンが生じることもあります。たとえば、就業時間外の研修や、使用者の指示によって行った学習時間は労働時間に該当するのか、などはよく起こる問題でしょう。

労働時間か、休憩時間かの判断は、厚労省のガイドラインによると「使用者の明示または黙示の指示により、労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる」とされています。
そのため、就業時間外の研修の場合は、参加することが業務上義務付けられている研修であれば労働時間に該当すると考えられます。そして、命令ではなくとも業務上必要な研修で、欠席すれば査定などの面で不利益をこうむる場合や、使用者の指示によって業務に必要な学習を行っていた時間は労働時間に当たる可能性が高いです。労働時間のグレーゾーンも、勤怠管理によって適正に把握し判断することで、従業員に対し適正な賃金を支払うことにつながります。

勤怠管理の対象者および対象となる企業・事業所

勤怠管理の対象者は、厚労省のガイドラインでは「労働基準法第41条に定める者およびみなし労働時間制が適用される労働者を除くすべての労働者」と示されています。ただし、事業場外労働を行うものにあっては、みなし労働時間制が適用される時間に限ります。

労働基準法第41条に定める者の代表的な役職は、管理監督者です。管理監督者とは、部長や工場長といった労働条件の決定および従業員の労務管理について、一定の責任を負う立場の人物、あるいは秘書のように経営者と一体である従業員を指します。誤解してはならないのは、管理監督者であるかどうかは役職名ではなく、職務の実態に即して判断されます。

また、みなし労働時間制とは、労働者が業務の全部または一部を事業場外で従事し、使用者の指揮監督が及ばず、具体的な労働時間の算定が困難な場合に、所定の労働時間働いたとみなすことです。労働基準法第38条では、次に該当する従業員のことです。

  1. 記事の取材や外勤の営業などを主たる業務とするような「事業場外で労働する者」であり従業員の裁量で業務を行い、労働時間の算定が困難な者
  2. デザイナーやシステムエンジニアなど、業務遂行の手段や時間配分などに関して、使用者が具体的な指示をしない19種の業務に従事する「専門業務型裁量労働制」が適用される者
  3. 事業運営の企画、立案、調査および分析の業務であり、業務遂行の手段や時間配分などに関して使用者が具体的な指示をしない「企画業務型裁量労働制」が適用される者

他にも、業務を自宅で行い、情報通信機器が常時通信可能な状態にないものの、随時使用者から具体的な指示を受け、それに基づいて業務を行う在宅勤務の場合も、みなし労働時間に該当します。勤怠管理の対象は労働基準法のうち、労働時間の規定(労働基準法第4章)が適用される全ての企業や事業所です。農業や水産業など天候や自然に左右される一部の職種については、労働時間の規定が適用されません。ただし、使用者には適正な労働時間の管理を行う責務があるとされています。

勤怠管理は従業員を守るための重要な記録

勤怠管理をする上で重要になるのは、労働時間と休憩時間の見極めや、労働時間の種類の把握です。勤怠管理を管理・把握をすることは、適正な賃金の支払いや、長時間労働の防止につながります。ひいては、従業員の健康を守ることにもなり、訴訟トラブルの防止や法令順守にも結び付くと考えられます。

 


参考: