売り手市場に負けない!中小企業の採用成功のカギは土台作りにあり その2

人事労務

売り手市場に負けない!中小企業の採用成功のカギは土台作りにあり②

 

前回のブログでは、人材採用の目的や求める人材像を明確化することの重要性、採用計画書について主に取り上げました。

今回も引き続き人材採用のカギをご紹介します。

 

採用目的・求める人材像に基づく求人媒体の選択

 

採用目的や求める人材像が明確になったら、どんな求人媒体を選択するのがふさわしいかを検討します。

現在、応募者を集める媒体には多種多様なものがあります。ハローワーク、Webの求人サイト、求人雑誌、新聞折り込み、SNS、人材紹介、縁故採用(リファラル制度)、大規模イベント、公的機関が開催するイベントなどなど。Webの求人サイトひとつをとっても、掲載料が高額なものから無料のものまで様々です。

果たして採用目的や求める人材像にマッチした人材は採用市場のどこに存在するのか?どんな求人媒体を利用するのか?

Webの求人サイトをひとつの例に取り上げてみます。

誰もが知っている大手の求人サイトについては、料金によって掲載順位が決まるものが多く、ある程度の額を投資して自社の求人が上位表示されると、非常に多くの求職者の目に留まります。また募集要項には条件面をしっかり書き込む様式になっているものが多いので、給与や福利厚生などのアピールが可能です。

一方で、条件面は一切記載せず、会社の理念や働き方を中心にアピールする求人サイトもあります。大手の求人サイトと比べると、求職者の目に留まる機会は少ないかも知れませんが、その分自社に合った人材にピンポイントで訴求できる可能性が高いでしょう。

一概には決めつけられませんが、条件面を重視する安定志向の方は前者に集まりやすく、ベンチャー気質の方や条件よりも仕事内容重視の若手などは後者に集まりやすいように思います。

また、採用目的や求める人材像の違いに関わらず、ミスマッチを防ぐという点では、縁故採用(リファラル採用)の活用も有効です。自社の業務内容や組織風土などを誰よりもよく理解している自社の従業員に採用候補者を紹介してもらうこの手法は、入社後の定着率も高く、効率的な採用手法であるといえます。しかし、従業員から積極的に紹介してもらうためには、報酬や紹介のためのルールを整備した上で、人事部門からの積極的な働きかけも必要であり、“従業員次第の待ちの姿勢”では効果は望めません。ある程度の人数を採用するのであれば、他の求人媒体の利用+αで活用されるのが良いのではないでしょうか。

 

求人原稿作成のポイント

 

仕事を探している方に、自社をアピールするためのポイントを4つ紹介します。求人原稿を作成する時に、意識してみてはいかがでしょうか。

 ①     企業理念や自社の強みを打ち出す

みなさまの企業では、従業員のひとりひとりに企業理念が浸透していますか?

採用担当の皆さんは企業理念を共通認識として持ち、求職者にそれを語ることができていますか?

特に中小企業では、採用する方ひとりひとりが将来の幹部候補生です。そのため、若手採用については理念への共感が欠かせません。

また、自社の強みを明確にすることも大切です。自社の強みは内部にいると意外に気付かないものです。強みを明確にするには外部の力を借りたり、従業員にアンケートを実施してみるのも良いでしょう。在籍中の従業員は、何かしらの良いところがあってこの会社に入社し、辞めずに働き続けているはずなので、その理由を把握し、言語化しておくのです。

自社の魅力を明確化し、求人原稿に反映させることは他社との違いや、優位性のアピールにもなります。

これまで全く人材が採用できなかったある中小企業では、自社の強みを打ち出したところ、目標を大きく上回る採用成果を上げています。

②     求める人材像を意識した文言を使う

求める人材像の明確化については既に前回お伝えしましたので詳細は割愛しますが、採りたい人材像を面接官の間で意識統一が図れていることが大切です。

求める人材像を作りこむ過程でそれが腹落ちして頭に叩き込まれることで、特に意識をしなくても結果としてそのような人材を採用できていた、なんて例もあります。

求人原稿については、「〇〇な人物」というように求める人材の持ち味を直接的に記載する場合と、求職者に響くキーワードを選んで、間接的に訴えかける場合とがあります。また、原稿に使用する画像についても、広く共感を得られそうなものを選択するようにしましょう。

 

③     仕事の内容を具体的に伝える

求職者が一番気にするのは、「この会社に入ってどんな仕事ができるのか」ということです。

仕事自体の魅力や価値、社会への貢献度や、顧客との関係性などについて、より具体的に記載すると効果的です。できれば従業員として、1日の仕事の流れややりがい、どのようにスキルアップしてきたのか、などを伝えられるとより具体的にイメージしてもらいやすいと思います。私たちも普段ネット通販で物を購入したり、飲食店を選ぶ際には、口コミを気にしますよね。第三者からの口コミとは少し異なるかも知れませんが、人事部門から一方的に伝えるのではなく、現場の従業員の声を入れることで求職者からの共感も得られやすくなります。

 

④     自己成長の可能性を伝える

仕事のイメージを具体的に伝えるのと同時に大切なのが、入社後の自己成長の可能性を伝えることです。この会社に入社後はどのような成長機会が与えられ、どのようなノウハウが身につき、どのようにスキルアップできるのか、それが具体的に記載されていれば、自己成長のイメージが持ちやすくなります。これもできればモデル社員の参考例を出しながら、どんな教育制度や、昇進・昇格・昇給のしくみ、人事評価制度があり、それらがどう関わって、実際にスキルアップ・キャリアアップできるのかを、より具体性を持って伝えることで理解が進みます。

採用が非常に難しいと言われる介護業界でも、実際、上記のように自己成長の可能性を具体的に伝えている企業からは、「採用には全く苦労していない」という驚きの声が聞こえてきています。

そしてこれら4つのポイントの大前提となるのが「求職者から求められる会社である」ということです。

採用の土台作りをしっかりと行い、効果的な求人広告を出し、採用はうまくいったのだが、定着しなかった、というのでは意味がありません。人が定着し、自発的にいきいきと働く会社であり続けるためには、求職者から求められるような会社である必要があります。

 

求職者から求められる会社であるために

 

求職者から求められる会社であるためには、ハード面・ソフト面両方において従業員にとって働きやすい会社でなければなりません。

ハード面では、まず、就業規則など会社のルールがしっかり整備されていることです。

就業規則の届け出が義務付けられていない規模の会社であっても、これから人材の採用を行うというのであれば、この機会に就業規則を整備されることをお勧めします。働く上でのルールが整備されていない会社に入社するというのは誰しも不安を感じるものです。数十年前に改定したままの就業規則を使い続けている会社も同様です。これを機会に見直しを行いましょう。

また、過重労働防止や有休の取得促進など、従業員の心身の健康に配慮した施策を行っているか、多様な人材の活用を推進しているかについても重要です。

現在、働き方改革の名のもとに企業の大小を問わず、多くの企業が様々な施策を進めています。他社の成功事例を参考にしながら、自社の業種や組織風土にあった施策を検討しましょう。

また、対内・対外アピールのためにはただ施策を進めるだけでなく、第三者機関からの認定を受けることも有効です。「働き方改革宣言企業※」「健康経営優良法人」「くるみん」などの宣言書や認定マークを取得し、これらを自社サイト、求人サイトなどを通してアピールしましょう。こうした取り組みは従業員の帰属意識向上やモチベーションアップにもつながります。

ソフト面では、組織が不活性な状況であるならば、従業員同士のコミュニケーションを目的とした研修を実施したり、コーチングや組織開発などの取り組みを行い、従業員の意識変革を促すということが考えられます。これらの取り組みは一過性のものでは高い効果は期待できませんので、継続的に実施し、時間をかけて粘り強く取り組んでいくことが必要です。また、研修やコーチングは思い付きで実施すると効果がマイナスに出てしまうことがあります。実施の際は経営者がその狙いを十分に説明し、従業員の皆さんがその意味を理解してから実施することが大切です。

(※東京都では「TOKYO働き方改革宣言企業」の募集を行っています。各自治体での取り組みをご確認ください。)

人材採用の土台作りについて2回にわたってお伝えしてまいりましたが、いかがでしたでしょうか。今回、実際の選考活動や採用のテクニックのお話はしていませんが、これまで採用活動が思うようにいかなかった企業は、そのやり方を土台から見直すことにより、結果が変わってくるはずです。すぐに結果が出なくても、焦らず自信を持って取り組んでください。